一人旅 / 満月の先の楽園






「うわあ、なんて酷い顔!!」

 ジーンが声を上げた。

国に帰るというターナを引き止め、慌てて顔を見せに来たのだ。

 ターナは眉間に皺を寄せ、思わずジーンから目をそらす。今のターナは1晩中泣き濡れ

た後の腫れた顔で、これこそ本当に“みっともない顔”に違いなかった。

 ターナはこういう時に来てくれる人が1人でも居たら嬉しいはずなのに、ついついそう

やってしまう。ジーンに故郷へと帰ると連絡したのは、ジュノに連れてきてくれた人だか

ら、お礼だけはと思ったのだ。先に礼を述べたザウコも心配そうな顔をしていた。

「ま、いいんだけどね。とりあえず引き止めたのはね、なんだかんだ言って俺がここに君

を連れてきちゃったんだから、君が無事にソロムグ原野とメリファト山地を抜けられるよ

うに薬と俺が簡単に描いた地図をあげようと思ってね。今まで帰れないと思って足止めを

食らっているんだろうなぁって思っていたからね。1人で帰るには薬品を使う事が1番だ」

 ジーンは自分の鞄の中から2種類の薬品を数多く取り出した。

「どうしてそうやってしてくれるんですか」

「君、地図なんて無さそうだもん。今までは連れがいたし、装備優先じゃなかったかい?」

 ウッとターナは言葉を詰まらす。地図を買えるほどの財布の余裕は、当時のターナには

無かったし、新しい武器を買ったせいでジュノ周辺の地図を買うお金も今はなかったのだ。

「俺もそれをすっかり失念していてね、どうしてあの場所で経験を積んでいたのか今にな

ったらわかるんだ。でも今はどのような形であれここに連れて来て良かったと思っている

よ。あの砂丘で皆と別れた場所よりも安全な場所に君を連れて行っても、きっと帰る道も

方角もわからず、モンスターに襲われて命を落としていたかもしれないからね」

 ジーンはターナの目の前でその薬品を大きな袋に入れ始めた。

 12個入れて、きゅっとその袋の口を閉める。それをそれぞれ4つ作った。

「冒険をする事に対して嫌になっていなかったら、また自分を鍛えて強くなってここにお

いで。まだまだ君の知らない世界がある。ジュノはその玄関口ともいえる所だからね」

 ターナはその大きくなった袋を見て顔を曇らせる。困った顔でジーンを見た。

「あの、ボク…こうやってしてもらっても今は何も返せません」

「知っているよ、そんな事くらい。そうだにゃー、個人的な事を言うとだにゃー、ボクが

可愛がっているにゃんこが心身ともに健康な君を見て、そこでやっと自分の体の不調に気

が付いて、体を休めるようになったからにゃー」

 ニヤニヤとしてジーンがターナの鼻をつまんだ。ターナがムーッと声を上げてパシパシ

とジーンの腕を叩く。

「…本当に、助かったよ。自分の疲れがわからない位まで精神的に追い詰められて余裕が

無くて、ギリギリの所で立っていたみたいだったからね。俺は今、あいつに抜けられると

とても困るんだよ。だから、これは俺からのお礼だ。本当は送って行ってあげたいけれど、

俺もやる事がそれなりにあるからね」

「それだけでこれだけのものを揃えてくれるだなんて、なんだか嘘っぽい」

 アハハとジーンが笑った。クォン大陸の砂浜で見せた顔ではなく心底優しい顔を見せて、

ターナの頭を撫でる。

「それはね、2人分だ。もう1人、可愛いにゃんこの他に君に助けてもらった人が居るか

らね。だから多くないよ。俺はね、あいつともまだまだ別れたくないんだ。まだまだ一緒

に居たいからね。偶然ではあるけれど、ヘトヘトになっていた2人に君の健康的な姿を見

せる事が出来て嬉しいと思っているんだよ。だから、遠慮なく受け取りなさい」

 ターナはそう言って柔らかく笑うジーンを見て、

「あ、いいですね、そういう仲間が居るのって…」

と羨ましそうに言いながら笑った。そんな仲間を持てる事はとてもすばらしい事だ。

「でしょ。だからね、君が途中で悲しい事故に会ったって事にはさせたくないんだよ。そ

れは最終的には俺の大事な2人の気分をうんと落とす事になるからね」

 ジーンはターナの頭を撫でていた手を頬に滑らせ、机越しにそっと唇を重ねた。

 思わずターナの耳と尻尾が直立する。うつむいて真っ赤になりながらターナが唇を必死

で拭こうとした所をジーンが両手でその顔を捕まえ、また強引にキスをした。

「ちょっと、やめてください!」

 泣きそうな顔でターナが言うと、ジーンは自分の額をターナの額に押し付けた。

「あー、マジで可愛いなぁ」

 ジーンがターナの鼻先をペロリと舐め、そっと手を離す。ターナは今度こそ必死になっ

て自分の唇をごしごしとぬぐった。

「さあ、子猫ちゃん。日が上がっているうちにここを出発しなさいよ。冒険者の味方は冒

険者だけれど、それと同時に最大の敵もモンスターではなくて冒険者だからね」

 真剣な顔でジーンがターナにそう告げるとゆっくりと立ち上がる。

「…そうなんですか?」

「俺が君にした事を他の奴等にまでされたくなかったら、できるだけ隠れて動く事だ。ソ

ロムグ原野、メリファト山地を抜けるまでは気を抜くな。タロンギ大峡谷もまあそれなり

に危ないけどな。それを忘れるなよ、メス猫」

 ターナも真剣な顔でジーンを見上げたが、ターナはジーンの言葉が信じられず、苦笑す

る。ターナは自分がメス猫だなんていわれる事はないだろうと思っていたのだ。はっきり

言ってしまえば、メス猫という表現は自分には似つかわしくない、と思っている。

「大丈夫ですよ、ボク、そういう風に見られた事、無いですから。それに全然女らしくな

いし、男の子みたいだから、襲われる事なんてないですよ」

 ターナはそう言って苦笑する。それから自嘲気味に笑って、目線を落とした。

「本国でも男の子みたいって言われていましたし…。だから、男の子だと思って襲われな

いですよ。こんなボクが襲われるなんて、そんな、ねぇ、信じられない」

 ジーンが一瞬にしてターナの腕を掴んだ。それはダランディーガよりも体が小さくて細

い腕なのにとても力強かった。目の前の男でここまでの力が出せるというのなら、ダラン

ディーガは一体どれだけの力を出す事が出来るのだろうと思う。

 驚いて声も出せないでいるターナの腕を掴んだまま、ジーンが荷物をまとめて人通りの

少ない路地裏へと引きずっていく。

 ジーンは嫌がるターナを壁に押し付けて無理やりターナの口の中に自分の舌を差し入れ

た。心を許しきっていない相手に触れられて、ターナの体はその嫌悪感で鳥肌が全身に立

った。体が冷える。

 ターナが逆らえないほどの力を込めて、ジーンがターナを反転させる。後ろから抱きし

める格好になった後、ジーンはターナを壁に乱暴に押し付けた。

「ふーん、君はそういう考えでボク、ボクって言っていたんだ。面白いね。だから本気で

自分の体の事も男の事も知らないし、自覚していないんだな。じゃあちょっと男というも

のを教え込んであげようか。…本当に君は罪作りだねぇ。無意識な所が性質悪いね。ダラ

ンがきちんとここまで教え込んでいたらちょっとは違っただろうにさぁ。無防備すぎるの

は、1人で歩いて活動するにはよろしくないぞ」

 慣れた手つきでジーンがターナの革で出来た鎧の留め具をはずして、ジーンの冷たい手

がターナの乳房を掴んでしつこく揉む。あまりの気持ち悪さにターナが悲鳴を上げた。そ

れ以上声が漏れないように、ジーンがターナの口を手で塞ぐ。

「君の、こうやって揉みしごく事ができるほど脂肪がついたまぁるい胸は、何?俺にもダ

ランにも、無いでしょ。あるのは、筋肉で出来た胸板だけだ。ふふ、柔らかいね」

 ターナは抵抗を試みるが、やっぱりそれもジーンには敵わない。これが本当の男の力な

のかと思うと、ターナはそれだけで血の気が引く。

「そりゃぁ君は前衛だから他の子に比べたら脂肪はついていないけどさ。確かにミスラ族

の中でいくと、胸もちょっと小さく見えるね。でもそれはきっと君の体が特に小さいから

だよ。こうやって手の中に入れて揉む事が出来るんだからさ、男にしてみりゃ、十分すぎ

る。…いや、見た目で思っていた以上に、大きいな。…お前がうつむいて手で寄せりゃ、

胸でこれをしごけそうじゃないかよ。男が喜ぶ手管を1つでも出来る体っていいものだぞ」

 ターナの脚の間に腰を割り入れ、ジーンがターナの手を自分の股間へと強引に持っていっ

て触らせた。その柔らかい生地の長いズボンの中に、ターナの知らない何かがあった。

 ターナの手は強い力によって、その何かをなぞるように細かく上下させられる。

 ターナは初めて味わう男の恐怖と自分の無力さに泣き出した。

「君の体は脂肪が少ないけれど、その分、引き締まってしなやかで、綺麗だよ。健康的で、

いいねぇ。こういう体を持っているから、俺は前衛のミスラが好きなんだよ」

 クスクスと笑いながらジーンがターナの口から手を離して、脚の間にその手を入れた。

「…穴、あるでしょ。ここの奥に、君の指では奥が確かめられない位にふかぁい穴が、さ。

そこへ、俺達オスが持つ棒を入れるんだぜ。俺のここ、硬くなっているだろう?こうやっ

て、さ、穴を突くんだぜ。別にこの体勢だけじゃねぇけど、俺はこうやって後ろから突く

のが好きだね。そうやって、お互いが気持ち良くなって、繋がる事を楽しむんだぜ」

 ジーンはそのものをターナの中に入れてはいないが、それと同じ動作でターナの体を下

から突き上げるように動き、泣きじゃくるターナの涙を舐めた。

 しばらくそうやって突き上げ、フフンと鼻で笑った後、ゆっくりとジーンがターナから

体を離す。恐怖に力が抜けて、ターナはその場でへたり込んでしまった。

「そのまぁるい胸と穴を持つ君のどこが、メスじゃないと言い切れるんだい?その、君が

生まれながらに持つ穴に差し入れる棒を、君は持っているのかい?持っているのなら君は

確かにオスだけどさ、穴しか持っていなかったらオスじゃないよ。それはさっきやった方

法で男を受け入れる、生きた鍵穴を持つ女の体だ。…わかったかい、子猫ちゃん」

 歯が噛み合わずにカチカチと鳴るまま、ターナは自分の顔を自分の両手で隠した。

「ああ、それからね、子猫ちゃん。どうして、皆の前で泣きそうな顔を見せるとダランが

怒るかっていう事も教えておいてあげようか。そうやって道中で泣かれると困るからね」

 ジーンは顔を隠すターナの両手を掴んで、泣き顔を覗き込み、男の顔で笑いかける。

「…そういう顔をして自分を見上げられると、男はどういう形であれ、君が普段隠し持っ

ている鍵穴に自分の棒を突き刺して、君がドロドロになるまでかきまわしたくなるからだ

よ。それはダランだってそうだし、俺もそうだよ。何なら今からでも試してみるかい?」

「い、いらない、いらない、です」

「そう、つまらないね。君の仕草や泣き顔は本当に場所を限定せずに、鍵穴の具合を確か

めたくなるからね。ダランが狩りの事以外の事で怒る時はね、ダラン自身がそうやって思

うから怒るんだよ。そういう意味で魅力を感じなかったら別に怒らないでしょ」

 つまらないといいながらもどこか楽しそうな顔で、ジーンがそっとターナの腕を離した。

「そう、思い、ません。ボクの、顔は、みっともないもん。だから、怒るんだよ」

 ターナはそう応えるだけで精一杯だ。そうやって搾り出すように出す声もか細い。

「俺が怖いだろう。これが、女にかまける男の姿だよ。だけどねぇ、君の体にとって気持

ちがいい行為を運んでくれるのもまた、男だよ。そしてね、男にとっての快楽は女が運ん

でくる。鍵と鍵穴は、繋がると気持ちいいものだからね。さあ、お行き。ならずものの冒

険者は隙だらけだと昼夜関係なく、遠慮なしに君の穴に自分の棒を入れてかきまわすよ」

 泣きながらターナがその場を逃げようと立ち上がったが、その行く手を阻むようにジー

ンの足が壁を蹴って逃げ道を塞ぐ。

「俺の話、聞いていたかい?その乱れた防具をきちんとつけて、その涙で真っ赤に腫れた

目元をきちんと引かせてから動きなさいね。…そうでないと、この俺がお前を食うよ。こ

れでもギリギリまで我慢しているんだ。お前をかき回したいのはあいつらだけじゃない」

 ターナは首を横に振った。泣くのをやめたいけれど、泣く事が止まらないのだ。

 ジーンがまたターナに腕を伸ばす。深くため息をついて、ターナの防具の留め金をきち

んと留めた。

「よくもまぁ、ダランもここまで我慢したわ。無防備すぎて、久しぶりのすげぇ誘惑だ」

「や、さわら、ないで」

 ジーンから身を護るようにターナが震えながら丸まった。全身の毛が逆立って収まらな

いこの感覚は、ターナにとって初めてだった。モンスターではない、“人間”に対して怖い

と思ったのはこれが初めてだ。

「その調子で帰りな。そうすりゃ、無事に家に帰れる確立がうんと上がる。…今までのお

前は、それこそダランディーガの知り合いであいつの遣いだとでも言われたら誰にでもつ

いていきそうだったからな。男共を上手くかいくぐってウィンダスへ向かえ」

 じゃあ、と言い残してジーンは路地裏を出て行く。ターナはジーンの姿が消えたのを見

て、恐怖に支配されながら逃げるように路地裏を出てジュノの街を飛び出した。







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