告白 / 満月の先の楽園






 ダランディーガの目が覚めた時、自分の腕の中にあるはずの小さな体は無かった。

 いつの間にベッドどころかこの部屋から出て行ったのだろうかと思い、自分がどれだけ

ぐっすりと眠っていたのかを実感する。

「あー…。まだ足りねぇ」

 ハーッと息をついて、顔をしかめながら目をこする。

 いや、本来なら満ち足りているはずなのだが…。

(あんなにも小さい、しかも初めての体に俺のブツなんて最初から入れられるかっつぅの、

なぁ。本格的に壊す、壊す。普通に考えて満足するわけが無いわ)

 ダランディーガは上半身を起こして自分の手を眺める。

 唇を尖らせて右手の人差し指と中指をジッと見て、左手で顎を掴みながら眉をひそめて

うーんと唸った。

(…俺、マジでいつになったらあいつと繋がる事が出来るのやら。気が遠くなりそうだな)

 本当はダランディーガ自身も何度も想像の中では抱いては来たけれど、いざ本物の体を

見て、彼女が持つ女性器を見て、こりゃ入れ込む俺も怖いわと思ったのだ。ターナもダラ

ンディーガの男性器を見て困った顔をしていた。

 これを自分の体に入れるの?

 言葉には出さなかったものの、ターナの顔にはそうやって書いてあった。

 思わずその将来的にターナの体に入り込む予定のモノを、ダランディーガは腰にシーツ

をくくりつけて隠して、彼女のそこに自分の人指し指を滑り込ませたのだ。

『予行練習、するか。な、そうしよう。どうだ、ここは気持ち悪くは無いか?』

『ダ、ダラン、や、嘘。ここ、気持ち、いいよぉ』

 彼女にとって背後に回られ、胸をしごかれる事が恐怖だったらしい。そもそも、背後か

ら抱きしめられる事に恐怖を感じているようだった。

 それを知り、ダランディーガはターナと顔を見せあうように向き合う。そして、どこを

どう触られると気持ちがいいのか、ターナに口に出して言わせていた。

 本気で自分の手によって相手の気分を上げ、気持ちがいい部位を言わせるのも楽しいも

のだ。思わず調子に乗って、ダランディーガがターナに聞いてみた。

『どこが気持ちいいってぇ?ほら、言ってみなぁ』

 とても恥ずかしそうな困った顔でターナがダランディーガから目をそらせる。本当に快

い刺激を感じているのだろう。声を我慢する為に口に軽く手を当てて、それでも熱い息と

声も漏らせながら顔を甘く歪ませていた。

(ああもう、畜生!こいつのどこが、どこが、どこが!オトコノコだって言うんだよ!立

派にオトコを振り回すオンナの顔じゃねぇかよ!)

 そう言ってしまいそうな位、ターナはダランディーガにとって可愛かった。

『ほら、もっとして欲しかったら、して欲しい所を言ってみなさいよ』

 ダランディーガがターナの耳元で囁くその言葉はダランディーガにとってのおねだりだ。

 ターナの口から卑猥な言葉を聞きたかった。そうやってダランディーガにねだり、しが

みつく。そんなターナの姿が見たかったし、自分を求める声も聞きたかった。それはダラ

ンディーガ自身が毎晩思い浮かべてきた極上の瞬間への入り口だ。

 ターナの震える手はダランディーガの手によってダランディーガの首へと導かれる。

 ダランディーガにとっては細くて甘い腕だ。その甘い腕がしがみつくようにダランディ

ーガに絡みつき、ぎゅっと力が篭った。唇を舐めると、すぐにねだるように口を開いて舌

を受け入れる。

 キモチが通ったキモチのイイコトというものがどれほど満ち足りた気分にさせてくれる

か。ダランディーガは久しぶりの“作業”ではないそれに酔う。

『ほらぁ、おねだり、してみな。俺もお前の気持ちいいところばかり、いじりてぇんだよ。

だから、言いなぁ。名前を知らないなら、表す言葉を教えてやるぞ?』

 ふぁ、と甘く、声を出す事を我慢していたターナが喘ぐ。それを見て、わざとダランデ

ィーガが指を抜く。正当に男を迎え入れる為の体の準備は、彼女の中に出来ていた。

『さあ、おねだり、して。もっとここをいじってって、言えよ』

 しがみついていたその腕の力が強くなり、ターナの小さな体が震えた。そしてその場所

を彼女が知る言葉で口にした。

(…ちょっとずつああやって指で慣らすしか、無いよなぁ。こうやって潜り込む時間に恐

怖なんぞ持ってもらいたくねぇし、気持ちいいって顔も思っていた以上にすげぇ可愛かっ

たしさ。本当にここまで大きさが違うとはなぁ…。今まで思った事なんて無かったけど、

普通に凶器だわ。確かにミスラは誰でも具合がかなり良かった覚えはあるけどなぁ…)

 …。

 ………。

「…って、オイ。誰だよ、あいつに鍵と鍵穴って妙な言葉であそこの名前を吹き込みやがっ

た奴は!ムカツクったらありゃしねぇ!妙な男が変な癖を付けやがってぇ!!そこはそ

んな名前じゃねぇぇ!!俺の女に泥を塗りつけたのはどこのどいつだ!!畜生!!」

 ダランディーガはそう怒鳴って怒りにまかせて手元の枕を思い切り壁に投げつけた。

 バシン!とけたたましい音を立てて枕が壁にぶつかって床に落ちる。

 思わずその自分の見知らぬ男の影に、ダランディーガは力を入れれば簡単に壊れそうな

小さな宝箱を本格的に壊しそうになったのだ。

『はは、鍵穴か。そうか、じゃあいじってやるよ。…んー、ここだったかなぁ』

 そこに近いが明らかに違う所を選んでダランディーガはいじった。声を上げながらター

ナが違うと首を横に振る。

『や、ちが、ちがうよぉ。でも、や、やだぁ、そこ、やだぁ』

 嫌だと言う割にはきちんとダランディーガから与えられる刺激を正当に感じ取っている

という事位、ターナの体の反応を見ればわかる。

 本当にこいつのどこがオスなんだよ。ダランディーガは門で待ち構える幼いミスラ達に

そう問いただしたくなった。

『ふーん。じゃあここかぁ。なぁ、お前の鍵穴にこうやって鍵を入れる、鍵の持ち主は誰

だ。ほら、名前を呼べよ、はっきり、呼びなぁ!』

 ターナはダランディーガの2本の指に翻弄されながら、ダランディーガの名前を呼んだ。

『ダランだよぉ、あ、ダラン、だよぉ!』

 …そのターナを怖がらす男と同列になりたくないという思いで構成される、理性という

名の感情で何とか踏みとどまったけれど、本当に危なかった。

 あそこでその妙な名前を刷り込んだ男の名前を呼んだら、どうなっていたか。

 ターナをその場でグシャグシャになるまで抱いて、その名前を頼りに男を探し出して、

追いかけて、追い込んで、再起不能にしていただろう。

 あの時の事を思い出すだけで嫉妬と怒りが湧き上がる。

 フーッフーッとダランディーガが肩で息をした。胸の中を燃やす激しい嫉妬と怒りに吐

く息も荒々しい。

「畜生、あいつを犯した奴と同列になりそうになったじゃねぇかよ!あームカツク!すげぇ

ムカツク!」

 そして目覚めた後の甘い時間を過ごさせてくれなかったターナにも、腹立たしさを感じ

てしまう。優しくしたのがあだになったのかと思わずムッとなってしまうのだ。

 ダランディーガはベッドから降りて、部屋の端にある鎧の胴部分を思い切り蹴った。

 グワングワンと音を立てて鎧が床に倒れる。

「こんな日くらい、一緒に起きるのが筋だろうがよ、あのメス猫!変な手管ばかり覚えや

がって!畜生!今度は次の日も立てねぇぐらいにしてやるよ!」

 家事手伝いでダランディーガが使う宿に出入りしている獣人モーグリも、障らぬ神に祟

りなしと気を荒らすダランディーガに対して見て見ぬ振りをしながら、自分に八つ当たり

の火の粉が掛からないようにこっそりと気配を消す。

 そこで獣人モーグリに向かって、ダランディーガに向けて何か荷物が届いたと宅配所か

ら連絡が入る。なので、一瞬で宅配所に向かい、そこからその荷物を受け取り帰って来た。

「ご主人様、何か届いたクポ」

「アァ?!今はそんなもの見たくねぇよ!放置だ、放置!どうせ誰かが合成してくれとか

ゴミを送ってやれとかそういう所だろうよ!」

 …こんなご主人様だが仕事は仕事だ。どれだけ怒り狂ってもモーグリに対して暴力を振

るわないから、まだましだ。モーグリはダランディーガにこぼした事は無いが、ダランディ

ーガの前の従事していた冒険者はモーグリを痛めつけた。

 モーグリはめげず…というか諦めにも似た気持ちで届いたものをダランディーガに見せ

るように机の上に置いた。

「たぶん違うクポ。ちょっと中身が動いている音がするような気がするクポ」

 その送られたモノをダランディーガは見る。

「…言われてみればそうだな」

 箱の蓋を開けて、その中身を覗き込む。ダランディーガは眉間に皺を寄せ、顔を歪めた

が、鼻先をいじりながらも徐々に自分の口元が上がっていくのが感じられる。

 箱の蓋の裏には、初めて見るターナの文字が書いてあった。

“おはよう!これをお昼に一緒に食べましょう。もっと釣って帰るよ!”

 ダランディーガの中で嵐のように吹き荒れる嫉妬と怒りも少しずつ収まっていくのがわ

かる。その様子にモーグリもちょっとホッとした。

「チェ。全く、王子様ったらなぁ。…ここが王子様たる所以か。…ったく、なんだよ、こ

れはよ。これ位で機嫌が直るとでも思ってんのか、あのメス猫」

 ダランディーガはそうやってつぶやきながら、釣りたてでまだまだ元気のいいゴールド

ロブスターを1匹掴んで笑った。ビチビチと自分を掴んでいるダランディーガの目の前で

その尻尾を跳ねるほど、かなり新しくて元気なその姿を見ると、ついつい食欲がわく。

 海水が滴り落ちるほど水分を含んでいるサルタ綿花に包まれて、ゴールドロブスターが

あと3匹入っていた。合計4匹だ。

「よし、釣り場に向かうか。手持ちで帰ってきていない所を見るとまだ釣っていそうだな。

ジョブは…まあ適当でいいや。…これでもかといじって遊んでやる」

 ダランディーガは冒険者見習いが着るような軽い東方装備に着替えて、送られてきたそ

のゴールドロブスターが傷まないように丁寧に包装された箱ごと持って宿を出た。

 太陽はまだ低くて、朝が早い。朝の訪れを告げる鳥がピチュピチュとさえずっていた。

「あー、確か、夜明け前と夕方の食いつきがいいんだっけ、か。それでいなかったのか。

…それならそうと何で一言残していかねぇかな、あの女」

 このロブスターの新しさを考えると、昼ぐらいになってもまだまだ旨いはずだ。

 ダランディーガは調理ギルドに寄って、パンや飲み物などを買った。

 そして近い所ではあるが、ターナがいつもゴールドロブスターを釣る時に居ると言って

いた東サルタバルタの海岸線へと向かって、チョコボを使って走った。







←            


















本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース