体温






 薄暗がりにポツリと白い影。

 ダランディーガはその1人で動く影を眠った振りをして薄目を開けて目で追った。

 

 薄暗がりにポツリと赤い影。

 ターナはその微動だにしない影の様子を窺いながらコソコソと歩いた。

 

 現在の位置は…どこだろう。

 今はパーティを組んでいる皆が休息を取る為に休んでいる。

 ここはダンジョンの中だがそれでも安全地帯であり、よっぽどの事が起きなければ生物

が襲い掛かってくる事は無い。

 ターナは皆からかなり離れた所に立ち、周りに誰もいない事を確認して、確認して、確

認して、4回目に確認してからやっとハァ、と息をついた。

「ん…っ」

 うっかりと自分の熱い息がこぼれてターナは慌てる。

 また慌てて来た道を振り返り、誰もいない事を確認した。

 そうやってターナは皆から離れた所で更に姿さえも隠れるように、岩陰に潜り込む。

 コクッと自分の喉が鳴る。

 

 その音さえも誰かに聞こえてしまいそう。でも我慢できない。

 

 ターナは手につけてあるグローブを脱いで、自分の掌で口を隠して自分の唇を舐める。

 そうやって自分の口を覆い隠す自分の掌に熱い息を感じ、キュッと目を閉じた。

 こういう事は自分の寝室の相手でもあるダランディーガにお願いをすればいいのだろう

が、彼は彼でパーティ中はこんな事をしたがらない。

 当然といえば当然か、彼はビシッと線を引っ張っている。

 ターナ自身もそれでいいと思っているから、それに対しての文句は言わない。

 長期のパーティで性欲を吐き出す為に他の女を抱いたら…どうなるだろう?とは思うけ

れど、多分、パーティが終わって街に帰っても当分の間は触らせない。

 ただ、それだけだ。

(今日は…、不能になっちゃった、な)

 ダランディーガの怒声と、その怒声に泣き出す白魔道士。そして、自分の体を食い荒ら

される恐怖と冷えていく感覚。…食い荒らされていくターナからその注意を引き剥がそう

と頑張る、他の人々。

『ターナ!ふざけんな、何でお前ばかり!その役目は俺だろうがよ!』

 ターナに必要以上の敵対心をなすりつけたシーフと、敵に対して手加減をしないターナ

に怒鳴るダランディーガの顔は真っ赤になり、そのうちどんどんと青くなっていった。

『畜生、何でこんな時に俺に敵対心が来ねぇんだよ!チクショ――!!』

 ダランディーガの叫びと共にフイッと視界から全てが消えて、ターナは地面に崩れ落ち

た。

 ターナの意思では動かなくなってしまった体はその先からどんどん冷えていく。

 その冷えた感覚を味わうと、ターナはどうしても自分の体は熱いのだと、今はきちんと

生きているのだと確認したくなる。

 眠る前に目を閉じたその時、戦闘が出来なくなってしまった時のようにどんどんと自分

の指先から冷えていくような気がした。

 

 馬鹿げているなと笑われるだろうか。気にしすぎだと笑われるだろうか。

 

 でも、今、きちんとした体温を持って自分は生きている。

 それを確認したくなる。

 だから1人で経験を稼ぎに行った後、ダランディーガを求める自分はきっと激しいだろ

うなと自覚をしている。そうやって体が冷える回数が多くなれば多くなるほど、今は生き

ていると実感をしたくて仕方ないのだ。

 ターナは息を殺して自分の頬に触れてみた。

 その手の指先を舐め、濡らしてから股当てをそっとはずして足を広げ、いきなり男を受

け入れる部分に指を忍ばす。

 そこは熱かった。

(…ああ、よかった。あたし、生きている。生きているよ)

『ターナ』

 ターナは自分を甘く呼ぶ声を思い出し、はやくあそこに帰りたいと願う。あそこはター

ナにとっての“生きて帰る家”だ。

 自分が声を漏らさないように手で押さえても、押さえる力が弱くなるのだろう。やっぱ

り少しは声が漏れる。

「んっ、ふ、…っ」

 思わずうつむいていたターナの目に防具のない見覚えのある大きな手が飛び込んできた。

 無言で手の主がターナの顎を掴んで、乱暴にその男の舌がターナの口を荒らした。

(見つかった…!)

 ターナは驚く。驚くが、相手が相手だけにそれに対して喜びの方が大きい。

 ターナがいじっていた手を抜き出し、代わりに自分の指を入れて、いつものように出し

入れする。

 そうやってする間に、ダランディーガが自分の股当てをはずしにかかった。

 ターナは声が漏れそうになり、どうしようと思ってしまう。

(やだ、声、漏れちゃう)

 ダランディーガの吐く息が熱い。

 そうやって感じる事が、今のターナが1番欲しかったものだ。

 ダランディーガはターナを地面に押し倒して、ダランディーガ自身が持っていた簡単な

止血用の布をターナの口に詰め込んだ。

 ターナの頭が地面につかないようにダランディーガの腕の上に置き、肩を抱く。

 いつも以上に短い時間でターナの秘所にダランディーガが自分の剛直を押し当てた。

 それでもするりと入り、お互いの一番熱い所でお互いの体温を感じ取る。

 2人は無言だ。いや、ターナはその布に声を奪われて大きな声は漏れていなかった。

 ターナの目から涙ともなんとも表現しがたい液体が流れる。

 ダランディーガは必要以上の音を立てない為にあまり奥へとは腰を進めない。クチュク

チュと短い音だけが小さく立っていた。

 ターナはダランディーガの頬へと手を伸ばす。ダランディーガは唯一肌に触れることが

出来るその手を取って指を吸って舐めた。

 ダランディーガの腰の動きがどんどんと細かく、速くなる。ダランディーガ自身も声を

抑えているらしく、たまに顔をしかめて唇を噛んでいる。

 ターナは彼にしては浅く突かれるその動きについていけずに先にイッてしまう。

 深く挿れられて突かれるよりも簡単にいけたような気がした。

 それに続いて、ダランディーガもいつものように自分の体液をターナの中に入れ込む。

 お互いが熱い息を吐いている。

 ダランディーガがゆっくりと体と手を離して、ターナの唾液でベタベタになった布を口

から取り出す。そしてその布でターナの股間を拭い取ってから、お互いの装備をきちんと

直し、何も言わずに元の場所へと戻っていった。

 

 その数日後。

 今度はダランディーガが戦闘不能になった。しかも、事故があって2回も続けて戦闘不

能になってしまったのだ。

 彼は盾の役目をしているから、本来なら最初に崩れ落ちる。

 本当は、この狩場に来るには早いのだろう。そう思えて仕方ない。

 しかしこうやって何度戦闘不能になってもそれ以上に経験を多く積める為に、誰もこの

狩場を動こうと提案をしなかった。明日はきっと楽になるはず。それが皆の意見だった。

 ターナはその日の夜、ダランディーガが皆寝静まった後で青い顔をしてそっとこの場を

離れる所を見た。

 ターナはその後をこっそりと着いていった。

 岩陰で1人、熱い息を吐いているその息遣いが聞こえた。

 ターナがそっとダランディーガに近づく。

 すがりつくような無防備な顔のダランディーガがターナを見上げた。

「あ…」

 ターナは優しくダランディーガに向かって言葉を掛ける。

「…ダラン、大丈夫だよ。あたし達はきちんと生きているよ」

 ダランディーガはその声に泣きそうな顔になり、ターナに手を伸ばした。

 ターナはその手の中に収まり、ダランディーガの頭を優しく抱く。

「…大丈夫だよ。ほら、あたしの体温、感じるでしょ。だから、生きているよ」

 唸るような低い声を上げて、ダランディーガがターナの防具をはがしにかかる。

 パーティ中は抱かないと言い切っていた男がここまでになっている。

 よっぽど色々辛かったんだなぁとターナはダランディーガの様子を見て思った。

 ターナは乾きに乾ききってどれだけ飲み込んでも渇きが癒されない土のように無言で自

分の体を欲しがるダランディーガに、自分の体を差し出す。

「生きて、笑って一緒に帰ろうねぇ…」

 ターナはそう言って自分の声が漏れないように、自分で持ってきた止血帯を自分の口の

中に詰めてから、ダランディーガの頬を優しく撫でた。







今自分が生きていると感じられるのは、この腕の中。





















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